<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 長恨歌>
<Format: 樂府詩>
<Year: 1964>
<BookName: 漢詩大系  白樂天>
<Translator: 田中克己>
<style: 漢文無假名>
<style2: 日本漢文訓讀無假名標注>
<TranslatedTitle: 長恨歌>
<BookPage: 42-57>
<UsedPage: 16>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
漢皇重色思傾國，
御宇多年求不得。
楊家有女初長成，
養在深閨人未識。
天生麗質難自棄，
一朝選在君王側。
回眸一笑百媚生，
六宮粉黛無顏色。
春寒賜浴華清池，
溫泉水滑洗凝脂。
侍兒扶起嬌無力，
始是新承恩澤時。
雲鬢花顏金步搖，
芙蓉帳暖度春宵。
春宵苦短日高起，
從此君王不早朝。
承歡侍宴無閑暇，
春從春遊夜專夜。
後宮佳麗三千人，
三千寵愛在一身。
金屋妝成嬌侍夜，
玉樓宴罷醉和春。
姊妹弟兄皆列土，
可憐光彩生門戶。
遂令天下父母心，
不重生男重生女。
驪宮高處入青雲，
仙樂風飄處處聞。
緩歌慢舞凝絲竹，
盡日君王看不足。
漁陽鞞鼓動地來，
驚破霓裳羽衣曲。
九重城闕煙塵生，
千乘萬騎西南行。
翠華搖搖行復止，
西出都門百餘里。
六軍不發無奈何，
宛轉蛾眉馬前死。
花鈿委地無人收，
翠翹金雀玉搔頭。
君王掩面救不得，
回看血淚相和流。
黃埃散漫風蕭索，
雲棧縈紆登劒閣。
峨嵋山下少人行，
旌旗無光日色薄。
蜀江水碧蜀山青，
聖主朝朝暮暮情。
行宮見月傷心色，
夜雨聞鈴腸斷聲。
天旋日轉迴龍馭，
到此躊躇不能去。
馬嵬坡下泥土中，
不見玉顏空死處。
君臣相顧盡霑衣，
東望都門信馬歸。
歸來池苑皆依舊，
太液芙蓉未央柳。
芙蓉如面柳如眉，
對此如何不淚垂？春風桃李花開夜，
秋雨梧桐葉落時。
西宮南苑多秋草，
宮葉滿階紅不埽。
棃園弟子白髮新，
椒房阿監青娥老。
夕殿螢飛思悄然，
孤燈挑盡未成眠。
遲遲鐘鼓初長夜，
耿耿星河欲曙天。
鴛鴦瓦冷霜華重，
翡翠衾寒誰與共。
悠悠生死別經年，
魂魄不曾來入夢。
臨邛道士鴻都客，
能以精誠致魂魄。
爲感君王展轉思，
遂教方士殷勤覓。
排空馭氣奔如電，
升天入地求之徧。
上窮碧落下黃泉，
兩處茫茫皆不見。
忽聞海上有仙山，
山在虛無縹緲間。
樓閣玲瓏五雲起，
其中綽約多仙子。
中有一人字太真，
雪膚花貌參差是。
金闕西廂叩玉扃，
轉教小玉報雙成。
聞道漢家天子使，
九華帳裏夢魂驚。
攬衣推枕起裴回，
珠箔銀屏邐迤開。
雲鬢半偏新睡覺，
花冠不整下堂來。
風吹仙袂飄颻舉，
猶似霓裳羽衣舞。
玉容寂莫淚闌干，
棃花一枝春帶雨。
含情凝睇謝君王，
一別音容兩渺茫。
昭陽殿裏恩愛絕，
蓬萊宮中日月長。
回頭下望人寰處，
不見長安見塵霧。
唯將舊物表深情，
鈿合金釵寄將去。
釵留一股合一扇，
釵擘黃金合分鈿。
但教心似金鈿堅，
天上人間會相見。
臨別殷勤重寄詞，
詞中有誓兩心知。
七月七日長生殿，
夜半無人私語時。
在天願作比翼鳥，
在地願爲連理枝。
天長地久有時盡，
此恨緜緜無絕期。
<End Poem>
<Translation>
漢皇 色を重んじて傾國を思ひ 御宇 多年 求むれども得ず。楊家に女あり初めて長成ず 養はれて深閨にありべいまだ識らず。天生の麗質おのづから棄てがたく 一朝選ばれて君王の側にあり。眸を回して一笑すれば百媚生じ 六宮の粉黛 顔色なし。春寒くして浴を賜ふ華清の池 温泉 水滑かにして凝脂を洗ふ。侍兒扶け起せども嬌として力なし 始めてこれ新たに恩澤を承くる時。雲鬢 花顏 金步搖 芙蓉の帳暖がにして春宵を度る。春宵苦だ短かく日高くして起き これより君王 早朝せず。歡を承け宴に待して聞暇なく 春は春遊に従ひ夜は夜を専らにす。後宮の佳麗三千人 三千の寵愛 一身にあり。金屋に粧成って嬌として夜に待し 玉樓に宴罷んで酔ひて春に和す。姉妹弟兄みな土を列ね 憐むべし光彩、門戶に生ず。遂に天下の父母の心をして 男を生むを重んぜず女を生むを重んぜしむ。驪宮高き處。青雲に入り 仙樂風に飄りて處處に聞ゆ。媛歌 慢舞 絲竹を凝し 盡日 君王看れども足らず。漁陽の顰鼓 地を動して來り 驚破す霓裳羽衣の曲。九重の城闘 煙塵生し 千乗 萬騎 西南に行く。翠華 搖搖として行きてまた止まり 西のかた都門を出づること百餘里。六軍發せず奈何ともするなし 宛轉たる蛾眉 馬前に死す。花鈿 地に委てられてん人の收むるなし 翠翹 金雀 玉搔頭。君王 面を掩うて救ひ得ず 回看すれば血涙あひ和して流る。黄埃 散漫として風 蕭索 雲棧紫紆して劍閣に登る。峨眉山下 人の行くこと少なり 旌旗 光なく日色薄し。蜀江 水碧にして蜀山青し 聖主 朝朝暮暮の情。行宮 月を見れば心を傷しむるの色 夜雨に鈴を聞けば腸斷ゆるの聲。天旋り地轉じて龍馭を廻し 此に到りて躊躇して去る能はず。馬嵬坡の下 泥土の中 玉顔を見ず空しく死せし處。君臣あひ顧みてことごとく衣を沾し 東のかた都門を望み馬に信せて歸る。歸り来れば池苑みな舊に依る 太液の芙蓉 未央の柳。芙蓉は面のごとく柳ば眉のごとし これに對して如何を涙垂れさらん。春風に桃李花開く夜 秋雨に梧桐葉落つる時。西宮 南内 秋草多く 宮葉 階に滿ちて紅掃はず。梨園の弟子 白髪新に 椒房の阿監 青娥老ゆ。夕殿に螢飛んで思悄然 孤燈 挑げ盡していまだ眠を成さず。遅遲たる鐘鼓 はじめて長き夜 耿耿たる星河 曙けんとする天。鴛鴦の瓦は冷かにして霜華重く 翡翠の衾ぱ寒くして誰とか共にせん。悠悠たる生死 別れて年を經たり 魂魄かつて來りて夢に入らず。臨邛の道士 鴻都の客 よく精誠をもって魂魄を致す。君王が展轉の思に感ずるがために つひに方士をして殷勤に覓めしむ。空を排し氣に馭して奔ること電のごとく 天に升り地に入りこれを求むる遍し。上は碧落を窮め下は黃泉 兩處 茫茫としてみな見えず。たちまち聞く海上に仙山あり 山は虚無縹渺の間にありと。樓閣玲瓏として五雲起り そのうち綽約として仙子多し。うちに一人あり字は太眞 雪膚 花貌 參差として是なり。金闕の西廂に玉局を叩き 轉じて小玉をして雙成に報ぜしむ。聞くならく漢家の天子の使と 九華帳裡 夢魂驚く。衣を攬り枕を推し起ちて徘徊じ 珠箔 銀屏 迤邐として開く。雲鬢なかば偏して新に睡覺め 花冠 整はず堂を下りて來る。風は仙䄃を吹きて飄飄として舉り なほ霓裳羽衣の舞に似たり。玉容 寂寞として涙闌干たり 梨花一枝 春 雨を帶ぶ。情を含み睇を凝して君王に謝す 一別 音容 兩つながら渺茫。昭陽殿裡 恩愛絶え 蓬萊宮中 日月長し。頭を回し下。 人寰を望むる處 長安を見ず塵霧を見る。ただ舊物をもって深情を表すと 鈿合 金釵 寄せ將ちまらしむ。釵は一股を留め合は一扇 釵は黃金を擘き合は鈿を分つ。ただ心をして金鈿の堅きに似しむれば 天上 人間 かならずあひ見ん。別に臨みて殷勤に重ねて詞を寄す 詞中に誓あり兩心知る。七月七日 長生殿 夜半 人なく私語の時。天に在りては願はくは比翼の鳥と作り 地に在りては願はくは連理の枝と爲らん。天長く地久しきも時ありて盡く この恨は綿綿として絶ゆる期なからん。
<End Translation>